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パンフレットの表紙は、桜の下に広がる芝生だった。

墓じまいのあと、ご両親のご遺骨をどこへ移すか。
資料を取り寄せると、樹木葬のパンフレットはどれも明るく、似た写真が並んでいます。

けれども、同じ「樹木葬」という名前でも中身は施設ごとに違います。
ご遺骨を土に還すのか、骨壺のまま石の納骨室に納めるのか。
いつまで個別に眠れるのか。その墓地を経営しているのは誰なのか。

樹木葬を選んで後悔した人の話をたどると、多くはこの違いを知らないまま決めたところに行き着きます。

樹木葬を選ぶ人が多い理由

購入されたお墓の半数近くが樹木葬

お墓のポータルサイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書は、同サイト経由でお墓を購入した人に毎年アンケートをとっています。
2026年の調査では、購入されたお墓の種類は次のとおりでした。

お墓の種類割合平均購入金額
樹木葬47.4%71.7万円
合祀墓・合葬墓16.4%-
納骨堂15.5%81.5万円
一般墓15.2%152.0万円
出典:株式会社鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」(「いいお墓」経由でお墓を購入した方が対象・2026年1月実施・有効回答1,267件)

樹木葬の割合は、前年の48.5%からわずかに減りました。
代わりに合祀墓・合葬墓が一般墓や納骨堂を上回り、2番目に入っています。

この調査は、樹木葬を紹介する側のサイトを通じてお墓を買った人が対象です。
全国のお墓の購入者全体の割合ではありません。
それでも、樹木葬がもう特別な選択ではないことは読み取れます。

選んだ理由は「子どもに負担をかけたくない」

同じ鎌倉新書が、樹木葬を購入した人だけに絞った調査も行っています。
選んだ理由の上位は次のとおりです。

樹木葬を選んだ理由割合
子どもや後継に負担をかけたくない46.3%
継承者がいない(近い将来いなくなる)26.4%
費用7.8%
出典:株式会社鎌倉新書「第2回 樹木葬の消費者全国実態調査(2025年)」(2024年に「いいお墓」経由で樹木葬を購入した方が対象・有効回答715件)

費用を理由に挙げた人は1割に届きません。
選んだ人の多くは、金額よりも「あとを誰に任せるか」を気にされているようです。

墓じまいのあとの行き先としても

墓じまいをした人に、取り出したご遺骨の行き先を尋ねた調査もあります。

改葬先割合
永代供養(合祀・合葬墓)43.2%
樹木葬24.1%
一般墓14.3%
納骨堂13.3%
出典:株式会社鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」(「いいお墓」で資料請求・霊園見学をした方が対象・2026年1月実施・有効回答733件)

「樹木葬」は、墓標の形を指す言葉

ここで一つ、整理しておきたいことがあります。

当サイトでは、供養先を「承継の有無」「安置の形態」「場所の形」の3つの軸で整理しています。
樹木葬は、このうち3つ目の「場所の形」にあたり、墓石の代わりに樹木や草花を墓標にするという形を指す言葉です。

承継が必要かどうか、合祀されるかどうかは、「樹木葬」という名前だけでは決まりません。
それを決めているのは、施設ごとの契約の中身です。

▶ 供養先を整理する3つの軸を詳しく見る
永代供養と樹木葬・納骨堂の関係をまとめています

経験者が後悔した理由

100人のうち26人が「後悔」「少し後悔」

墓じまい代行を営む株式会社フーフー(「わたしたちの墓じまい」)が、樹木葬を経験した100人に尋ねた調査があります。

回答人数
後悔していない74人
少し後悔している19人
後悔している7人
出典:株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」樹木葬経験者100名への調査(2026年5月19日実施・インターネット調査・n=100)

100人という規模のインターネット調査なので、割合そのものより、何に後悔したかに目を向けてください。

後悔の理由は4つに分かれる

後悔している26人の自由回答は、次の4つに分類されています。

  • 親族との認識の違い
  • アクセスの不便さ・管理の手間
  • 供養の実感が薄い
  • 費用などの経済的負担

費用についても、初期費用の安さだけで決めて、年間管理費や法要の費用を見落としていたという声が挙がっています。

同じ調査では、100人全員に「供養先を選ぶときに重視すべきこと」も尋ねていて、費用、合祀のタイミング、立地、親族との合意形成、管理体制の5つが多く挙がりました。

後悔は「思っていた形と違った」から生まれる

4つの理由を並べると、共通点が見えてきます。

親族が思い描いていたお墓と違った。通ってみたら遠かった。
手を合わせる対象がはっきりしなかった。払う金額が想定と違った。
どれも、契約した施設の中身が、思い描いていた形と違っていたという話です。

ここからは、同じ樹木葬でも施設ごとに違う3つのことを、順に見ていきます。

確かめること① どこに眠るか

里山・公園・庭園の3タイプ

樹木葬は、立地と作りによって大きく3つのタイプに分かれます。

  • 里山タイプ
    山林や丘など、自然に近い環境にご遺骨を埋葬します。
    区画ごとに樹木を植えることが多く、都市部から離れた場所がほとんどです
  • 公園タイプ
    霊園や寺院の一角を公園のように整備します。
    1本から数本のシンボルツリーを墓域に植える形が主流です
  • 庭園タイプ
    霊園や寺院の限られたスペースを、庭園やガーデニングのように整えます。
    公園タイプより敷地が狭く、都市部に多く見られます
タイプ購入者の割合平均購入金額
公園タイプ35.8%64.2万円
庭園タイプ33.0%68.9万円
里山タイプ11.3%61.4万円
出典:株式会社鎌倉新書「第2回 樹木葬の消費者全国実態調査(2025年)」

土に還る樹木葬と、骨壺のまま納める樹木葬

「樹木葬」と聞いて、土に還る姿を思い浮かべる方は多いと思います。

納め方は、施設によってさまざまです。骨壺から出して土に直接埋葬する施設、土に還る素材の袋に入れて埋める施設があります。
一方、骨壺のまま、地下の石の納骨室(カロート)に納める施設も少なくありません。
都市部の庭園タイプには、この形が多く見られます。

どちらが良いという話ではありません。
問題は、ご本人やご家族が思い描いている形と合っているかどうかです。

パンフレットの写真ではなく、契約書や使用規則に書かれた「埋蔵の方法」で確かめてください。

シンボルツリーは区画ごとか、共有か

区画ごとに1本ずつ木を植える施設もあれば、1本のシンボルツリーを多くの方で共有する施設もあります。
「家族の木」を思い描いていると、印象が違って感じられるかもしれません。

木は生き物です。落葉樹なら、冬は枯れ枝と土だけの景色になります。
見学に行くなら、花の季節だけでなく冬にも一度足を運んでみてください。

年月が経てば、木が枯れることもあります。植え替えるのは誰で、その費用は誰が負担するのか。
秋の落ち葉の掃除は誰がするのか。ここも契約の前に尋ねておきたいところです。

確かめること② いつまで個別か

「合祀されない」を選ぶ人が最も多い

樹木葬の多くは、承継する人がいなくても霊園や寺院が供養を続ける「永代供養」の形をとっています。
ただし「永代」は「永遠」ではありません。
一定の期間が過ぎると、ご遺骨を骨壺から出して、ほかの方と一緒に埋葬する「合祀」に移る施設があります。

どのくらいの期間、個別に眠れるのか。
鎌倉新書の調査で購入者に尋ねたところ、最も多かった答えは「合祀されることはない」の40.0%でした。
前回の32.1%から増えています。「最初から合祀される」は、18.7%から15.2%に減りました。

最初から合祀、一定期間のあとに合祀、合祀されない。
同じ樹木葬でも、この3つが混在しています。

個別の期間は、いつから数えるのか

「13年」「33回忌まで」と期間が書かれていても、それをいつから数えるのかは施設によって違います。

納骨した日からか。契約した日からか。夫婦で入る場合は、最後に納骨した日からか。

たとえば、ご主人を先に納骨し、奥様があとから入る場合を考えてみてください。
起点がご主人の納骨日なら、奥様が入ったあと、個別に眠れる期間は想定より短くなります。

墓じまいで取り出したご遺骨の場合は、亡くなってから長い年月が経っています。
「33回忌まで」が命日から数える約束なら、移してすぐに合祀の時期を迎えることもあります。

▶ 「33回忌まで」は誰の命日から数えるのか
永代供養の期間の数え方を詳しく説明しています

合祀のあとは取り出せない

ほかの方のご遺骨と一緒に埋葬されるため、合祀のあとで特定の方のご遺骨だけを取り出すことはできません。
将来、別の場所に移すという選択肢は、その時点でなくなります。

迷いがあるなら、ご遺骨の一部を分骨して手元に残しておく方法もあります。

▶ ご遺骨を「分ける」という方法(分骨)を見る
手続きと必要な書類をまとめています

確かめること③ 誰が経営しているか

樹木葬も、法律上は「墓地」

木の下に眠る形であっても、樹木葬は法律上の墓地です。
墓地を経営するには、墓地埋葬法第10条にもとづき、墓地の所在地の自治体の許可を受けなければなりません。

経営できるのは、原則として自治体。例外として宗教法人・公益法人

墓地には、何十年も続くことと、利益を目的としないことが求められます。
厚生労働省は「墓地経営・管理の指針」(平成12年)で、墓地を経営できるのは原則として地方公共団体、それが難しい場合でも宗教法人か公益法人などに限るという考え方を示しています。

名前だけを貸して、実質的には別の会社が経営する「名義貸し」が行われていないことも、許可の条件です。

自治体によっては、さらに条件を加えています。
たとえば神奈川県厚木市は、宗教法人や公益法人が市内に事務所を設けてから3年以上経っていることを求めています。

広告を出している会社と、経営している法人は別のことがある

樹木葬の広告を出しているのは、石材店や霊園の販売会社であることが多くあります。
けれども、墓地の経営許可を受けているのは寺院などの宗教法人や公益法人で、広告の会社は販売や管理を任されている立場、ということがよくあります。

それ自体は珍しい仕組みではありません。ただ、契約の前に次の2つを確かめておいてください。

  • 墓地を経営している法人の名称(契約書や使用規則の「経営者」の欄)
  • 販売や管理をしている会社の名称と、その会社の役割

許可を受けた墓地かどうかは、墓地の所在地の自治体でも確かめられます。
埼玉県川口市のように、経営許可を受けた墓地の一覧を公開している自治体もあります。
公開していない場合は、墓地の担当部署に尋ねてみてください。

経営が行き詰まることもある

頻度は高くありませんが、墓地の経営が行き詰まることはあります。
厚生労働省自身が、墓地を経営する法人の破綻や、実質的な名義貸しが疑われる事例があったことを認めています。
令和4年10月には、全国の自治体に対して、墓地や納骨堂の経営への指導監督を徹底するよう改めて求めました。

経営している法人はどこか。その法人はいつから墓地を運営しているのか。
何十年もご遺骨を預ける相手ですから、ここまでは確かめておいて損はありません。

寺院が経営する場合の宗派と檀家

寺院が経営する樹木葬には、「宗旨・宗派不問」「檀家にならなくてよい」とするところが多くあります。
ただ、条件は寺院ごとに違います。

国民生活センターには、寺院に宗派を確認して墓地を購入したのに、あとで別の宗派だと分かり、解約を求めたら解約料を請求された、という相談が寄せられています。

宗派の条件と檀家になる必要があるかどうかは、口頭ではなく書面で確かめてください。
墓じまいで菩提寺との関係を終えたばかりの方は、とくに大切な点です。

墓じまいのご遺骨を樹木葬に移すとき

改葬の手続きの流れ

お墓に納められているご遺骨を樹木葬に移すことは、墓地埋葬法上の「改葬」にあたり、市区町村長の許可が必要です。
おおまかな流れは次のとおりです。

  • 移す先の樹木葬で「受入証明書」を発行してもらう
  • 今のお墓の管理者から「埋蔵証明書」を受け取る
  • 今のお墓がある市区町村に改葬許可を申請する
  • 改葬許可証の交付を受ける
  • 閉眼供養をして、ご遺骨を取り出し、墓石を撤去する
  • 移す先の樹木葬に納骨する

申請書の様式や必要な書類、手数料は市区町村ごとに違います。取扱いは自治体により異なります。

▶ お墓のある市区町村の改葬手続きを確認する
全国の市区町村ごとに、担当窓口と必要書類の確認先をまとめています

改葬のご遺骨を受け入れない施設がある

公営の合葬式墓地や樹林型の施設のなかには、申し込みの資格を「まだどこにも納められていないご遺骨」に限っているところがあります。
千葉県四街道市や浦安市の合葬式墓地がその例です。

墓じまいで取り出したご遺骨では申し込めない、ということです。
公営の樹木葬を考えている方は、募集要項の申込資格を最初に確かめてください。

お墓から出したご遺骨には、洗浄や乾燥がいる

長くお墓に納められていた骨壺には、水や土が入り込んでいることがあります。
湿ったまま新しい施設に納めると、カビや臭いの原因になります。

樹木葬の施設によっては、粉骨したご遺骨しか受け入れない区画もあります。
東京都の都立霊園の樹林型合葬埋蔵施設には、ご遺骨1体の区分とは別に、粉状にしたご遺骨の区分が設けられています。

お墓から取り出したご遺骨であることと、骨壺の数を、申し込む前に施設に伝えてください。
洗浄や粉骨が必要かどうか、それを施設で引き受けてもらえるかどうかが分かります。

骨壺の大きさと、区画に入れる人数

受け入れる骨壺の大きさを決めている施設があります。
都立霊園の合葬埋蔵施設は、幅・奥行きとも25cm以内、高さ28cm以内です。
骨壺は関東では大きく、関西では小さい傾向があるため、地方のお墓から移すときに規定に収まらないことがあります。

区画に何名まで入れるかも、施設ごとに違います。
ご両親に加えて、いずれご夫婦で入るつもりなら、上限の人数と、あとから納骨するときの料金を確かめておいてください。

総額は「墓じまいの費用」と「樹木葬の費用」の合計

樹木葬の購入金額は、受け入れ先の費用にすぎません。
実際には、墓石の撤去工事、閉眼供養のお布施、行政手続きの手数料、寺院墓地なら離檀にともなう費用、代行を頼むならその手数料が加わります。

撤去工事の費用は、区画の広さや、重機が入れるかどうかで大きく変わります。

▶ 墓じまい費用シミュレーターで概算を確認する
市区町村ごとの費用調整をふまえた目安を表示します

ご家族・ご親族への伝え方

後悔の理由でいちばん先に挙がったもの

経験者調査で、後悔の理由として最初に挙げられたのは「親族との認識の違い」でした。
樹木葬は従来のお墓と供養の形が違うため、事前に話し合っておかないと、あとで認識のずれが生まれやすいのです。

反対の中身は、たいてい3つのどれか

「先祖代々のお墓を継がないのか」「お墓がないなんて供養として足りない」「木の下に眠るなんて」。
語られる反対の言葉はさまざまですが、中身を分けると次の3つに整理できます。

  • 先祖への後ろめたさ:自分たちの代で途切れさせることへの罪悪感
  • 世間体:親戚や近所にどう説明するのかという不安
  • 相談されなかった寂しさ:「なぜ先に言ってくれなかったのか」

3つ目は見落とされがちです。同じ内容でも、「決定」として報告すると反発され、「相談」として持ちかけると一緒に考える側に回ってもらえる、と言われます。

言わないほうがよい3つの言葉

避けたい言い方逆効果になる理由
「もう決めたから」相談されなかった寂しさを直撃します。反対の理由が「内容」から「態度」に変わってしまいます
「お金がないから」先祖を金銭で切り捨てた、という受け止め方をされがちです
「今どきはみんなこうだから」相手の考え方そのものを否定する響きになります
当サイトによる整理

話の進め方

相談が遅れたことを先に詫びる

「相談が遅くなってごめんなさい。決める前に意見を聞きたくて」。
ここで主導権を渡すと、相手は批判する側から相談される側に移ります。

供養が続くことを伝える

永代供養の形であれば、霊園や寺院が供養を続けます。
「お墓をなくす」のではなく「供養の形を変える」のだと伝わると、受け止め方が変わります。

このままの場合に起きることを共有する

「自分が動けなくなったら、子どもには管理ができない。
お墓が荒れてしまうほうが、先祖に申し訳ないと思う」。

最後の決定を一緒にする

「候補を3か所に絞ったので、一緒に見に行ってほしい」。
見学には、将来お参りをする立場の方も連れて行ってください。入るご本人より、手を合わせる側がどう感じるかが大切です。

見学で見るポイント

パンフレットや公式サイトで分かるのは、樹木葬の一番きれいな姿です。
見学では、その裏側を確かめてください。

どのタイプでも見ること

  • 冬にも一度行く
    花の季節に決めると、落葉した冬の景色に驚くことがあります
  • 何年か前に埋葬された区画を見せてもらう
    できたばかりの区画ではなく、年月が経った区画の手入れの状態に、管理の実力が表れます
  • 案内してくれる人の立場を確かめる
    名刺を見て、墓地を経営する寺院や法人の人か、販売や管理を任された会社の人かを確かめてください
  • 契約書と使用規則の見本をもらう
    持ち帰って、次の章の項目と照らし合わせます
  • 将来お参りする人と一緒に行く
    入るご本人より、手を合わせる側がどう感じるかが大切です

里山タイプで見ること

  • 最寄り駅やバス停からの道のりと、バスの本数。車を運転できなくなったあとも通えるか
  • 坂道や足元の状態。雨の日に歩けるか
  • 埋葬した場所の目印。プレートや位置図があるか。年月が経っても場所が分かるか
  • トイレや休憩所、管理事務所があるか。管理する人が常駐しているか

公園タイプで見ること

  • シンボルツリーは区画ごとか、共有か。共有なら、どこに向かって手を合わせることになるか
  • 区画の目印やプレートの大きさ、名前を刻めるか
  • 合祀のスペースがどこにあり、どのような形か。期間が過ぎたあとに移る場所です
  • 通路の広さや段差。車いすで通れるか

庭園タイプで見ること

  • ご遺骨をどこに納めるのか。地下の納骨室なら、構造や大きさの説明を受けられるか
  • 隣の区画との距離。お参りのときに隣の方と重なることはないか
  • 献花台や焼香の場所。線香やお供え物は持ち込めるか
  • 屋根や日陰があるか。夏の暑さや雨の日のお参りはどうか

契約書で確かめる箇所

樹木葬の契約書には、決まった書式はありません。
ただ、国は墓地の契約の雛形として「墓地使用に関する標準契約約款」を示しています(平成12年、厚生省生活衛生局長通知)。
雛形と違うからといって不適切とは限りませんが、自分の契約書を読むときの物差しになります。

契約の型を確かめる

雛形には2つの型があります。

  • 墓地使用権型:区画を使う権利を得て、代々引き継いでいく契約です。毎年の管理料を払う形が基本になります
  • 埋蔵管理委託型:承継を前提とせず、ご遺骨の埋蔵と管理を経営者に任せる契約です。承継者のいない樹木葬は、多くがこちらにあたります

自分の契約書がどちらに近いかで、誰が何を負担し続けるのかが変わります。
表題や最初の条文で確かめてください。

条文ごとに見る箇所

確かめる箇所標準契約約款の考え方自分の契約書で見ること
経営者の名称最初の条文に、墓地を経営する法人の名前を書く経営者の寺院・法人の名前が書かれているか。販売会社の名前しかない場合は、その会社との関係を尋ねる
ご遺骨を納める人と区画誰のご遺骨を、どの区画に納めるかを書く夫婦や家族の名前、区画の番号が書かれているか。あとから加わる人の扱い
管理の中身除草や清掃、供花など、具体的な管理の内容を付属の文書で定める何をしてもらえるのかが書面になっているか
合祀に移す時期委託型では「埋蔵から◯年」で合葬墓に移せるとする年数と、その起点(埋蔵の日か、契約の日か)
料金何に対する料金かを明確にし、様々な名目で料金を追加しない支払う料金の名目と金額。あとから追加される料金はないか
管理料の改定改定するときは、金額と理由を事前に書面で知らせる改定の条件と、知らせ方が書かれているか
使用の期限「永代使用」と書かれていても、管理料を払っている間だけ続く場合がある期限の有無と、管理料を払えなくなったときの扱い
自分から解約するときいつでも書面で解約できる。まだ納骨していなければ、一定期間内なら料金の一部を返す返金の条件と割合。合祀のあとは解約できないこと
経営者から解約されるとき料金の不払いなど、合理的な理由がない限り一方的に解除しない解除される条件と、事前に催告があるか
解約したあとのご遺骨解約したら、納めたご遺骨は引き取る引き取るときの手続きと費用
出典:厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日)別添2「墓地使用に関する標準契約約款」をもとに当サイトが整理

国の指針は、契約書だけでなく、重要な事項を説明する書面も作り、内容を利用者に説明するよう求めています。
重要事項の説明書があるかどうかも、あわせて尋ねてみてください。

契約前の確認リスト

ここまでの内容を、契約の前に確かめる13の項目にまとめました。
印刷して、見学や問い合わせのときに持って行き、確かめた項目に印をつけてください。

#確認確認項目なぜ必要か
1□ご遺骨を土に直接埋葬するか、骨壺のまま納骨室に納めるか「土に還る」かどうかが、ここで決まります
2□シンボルツリーは区画ごとか、共有か手を合わせる対象がどこになるか
3□木が枯れたときの植え替えと、その費用負担数十年のあいだには十分に起こりえます
4□個別に安置される期間と、合祀の有無最初から合祀、期間後に合祀、合祀なしの3通りがあります
5□その期間を、いつから数えるか納骨日か、契約日か、最後の納骨日か
6□期間が終わったあとの扱いと、延長できるか延長の費用も確認します
7□墓地の経営者(寺院・法人)の名称と、販売・管理をしている会社の名称何十年もご遺骨を預ける相手です
8□宗派の条件と、檀家になる必要があるか口頭ではなく書面で確かめます
9□改葬のご遺骨・分骨したご遺骨を受け入れるか。粉骨が条件か墓じまいのご遺骨では申し込めない施設があります
10□骨壺の大きさの規定と、区画に入れる人数あとから入る方の分も含めて確かめます
11□年間管理費の有無と金額、滞納したときの扱い永代供養の形でも管理費がかかる施設があります
12□納骨法要や、名前の彫刻などの費用が含まれているか見積もりの前提をそろえるため
13□解約したときの返金の条件生前に契約する場合はとくに大切です
当サイトによる整理

▶ 樹木葬も扱う永代供養の事業者6社を比較する
施設の名称や合祀の条件を公開しているかどうかも比べています

よくあるご質問

Q. 合祀されない樹木葬はありますか。

あります。鎌倉新書の調査では、樹木葬の購入者の40.0%が「合祀されることはない」と答えています。
ただし「合祀されない」が何を意味するのか、たとえば霊園の経営が続く限りなのかは施設によって違います。
契約書の文面で確かめてください。

Q. 夫婦や家族で同じ区画に入れますか。

入れる区画を用意している施設があります。
上限の人数、あとから納骨するときの料金、個別の期間をいつから数えるかを、あわせて確かめてください。

Q. お墓から出した両親のご遺骨を、そのまま樹木葬に移せますか。

改葬の許可を受ければ移せます。ただし、改葬のご遺骨を受け入れない施設や、粉骨が条件の区画があります。
骨壺に水や土が入っている場合は、洗浄や乾燥が必要になることもあります。
お墓から取り出したご遺骨であることを、最初に施設へ伝えてください。

Q. 寺院の樹木葬だと、檀家にならないといけませんか。

檀家にならなくてよい寺院は多くありますが、条件は寺院ごとに違います。
宗派の条件とあわせて、書面で確かめてください。

Q. 管理費を払えなくなったらどうなりますか。

扱いは施設によって違います。
滞納が続いたときにどうなるか、猶予の期間や連絡の方法は、契約の前に書面で確かめておいてください。
承継する人がいない方ほど大切な項目です。

Q. ペットと一緒に入れますか。

入れる区画を用意している施設があります。
鎌倉新書の調査でも、樹木葬を選んだ理由に「ペットと入ることができる」を挙げた人が前回より増えています。
区画の場所や費用は施設ごとに違います。

まとめ

  • 「樹木葬」は、樹木や草花を墓標にするという形を指す言葉です。承継や合祀の有無までは決まっていません
  • 経験者の後悔は、親族との認識の違い、アクセスや管理の手間、供養の実感、費用の4つに分かれます。多くは「思っていた形と違った」ことから生まれています
  • 同じ樹木葬でも、どこに眠るか、いつまで個別か、誰が経営しているかは施設ごとに違います
  • 墓じまいのご遺骨を移すときは、改葬のご遺骨を受け入れるか、粉骨が条件か、骨壺の大きさの規定があるかも確かめてください

名前ではなく、中身で選ぶ。その確かめ方さえ分かっていれば、樹木葬はご家族にとって心強い選択肢になります。

ご家族と見学に行き、何か所かを比べて、納得できるところで決めてください。
その時間は十分にとっていただいて構いません。

▶ 永代供養・樹木葬を扱う事業者を比較する
施設の名称や合祀の条件を公開しているかどうかも比べています

▶ 墓じまいから移転先の手配まで、まとめて相談する
墓じまい代行の事業者を比較できます

参考・出典

  • 株式会社鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」(2026年3月5日公表)
  • 株式会社鎌倉新書「第2回 樹木葬の消費者全国実態調査(2025年)」(2025年12月19日公表)
  • 株式会社鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査(2026年)」(2026年3月17日公表)
  • 株式会社フーフー「わたしたちの墓じまい」樹木葬経験者100名への調査(2026年5月19日実施・2026年8月24日公表)
  • 墓地、埋葬等に関する法律 第5条・第10条
  • 厚生省生活衛生局長通知「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日)別添1「墓地経営・管理の指針」・別添2「墓地使用に関する標準契約約款」
  • 厚生労働省 事務連絡「墓地、納骨堂等の経営・管理について」(令和4年10月28日)
  • 厚木市「墓地等の経営許可等について」
  • 川口市「墓地等(墓地、納骨堂及び火葬場)の経営の許可等について」
  • 国民生活センター「墓・葬儀サービス」(2026年7月31日更新)
  • 四街道市「合葬式墓地(通常合葬)の申請受付について」、浦安市「合葬式墓地の申請手続き」
  • 公益財団法人東京都公園協会「都立霊園 合葬埋蔵施設 使用の手引」(令和7年11月改訂)
  • 東京都「令和8年度 都立霊園の使用者を募集します」(2026年5月25日報道発表)

記載は2026年9月時点の情報です。調査の数値は各調査の対象者についての結果で、全国のお墓の購入者全体を表すものではありません。

※ 本記事の費用情報は2026年時点の情報に基づいており、霊園・地域・時期によって異なります。 掲載している資料請求リンクはアフィリエイト広告を含みます。