「お寺から書類をもらわないといけないらしい。でも、何という書類を、どう頼めばいいのか分からない。」
改葬の手続きを始めると、こういう場面があります。
その書類が埋蔵証明書です。
市区町村から発行される改葬許可証とは別の書類で、今のお墓の管理者(寺院墓地ならご住職)に発行してもらいます。
「埋葬証明書」「埋蔵証明書」「収蔵証明書」
検索では「埋葬証明書」という言葉がよく使われます。
法令の条文では「埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面」と定められており(墓地埋葬法施行規則第2条第2項第1号)、一般に埋蔵証明書と呼ばれます。
名前の違いについて
| 呼び方 | 説明 |
|---|---|
| 埋蔵証明書 | 一般的な呼び方。お墓(または納骨堂)に納めたご遺骨の埋蔵事実を証明する書面 |
| 埋葬証明書 | 「埋葬」は本来、遺体を土葬で埋めることを指す。検索などでは、埋蔵証明書の意味で使われることがあります |
| 収蔵証明書 | ご遺骨が納骨堂に納められている場合の呼称。納骨堂の管理者が発行する |
どの呼び方であっても、書類の役割は同じです。「ご遺骨がそこに納められているという事実を証明する書面」です。
以下の説明では「埋蔵証明書」で統一します。
埋蔵証明書とは何か
誰が発行するか
埋蔵証明書は、現在ご遺骨を納めているお墓の管理者が発行します。
- お寺の墓地(寺院墓地)→ そのお寺のご住職
- 公営霊園・民間霊園 → 霊園の管理事務所
- 納骨堂 → 納骨堂の管理者
- 集落の墓地 → 墓地の管理者(自治会・共同墓地の管理者)
改葬許可証とは別のものです
改葬(ご遺骨を別の場所に移すこと)には、今のお墓がある市区町村長の許可が法律で義務づけられています。
ここで、よくある思い違いがあります。
「改葬許可証をお寺でもらう」というものです。
改葬許可証を発行するのは市区町村の窓口です。お寺ではありません。
お寺から受け取るのは埋蔵証明書であり、この2つは別の書類です。
| 書類 | 誰が発行するか | 何のための書類か |
|---|---|---|
| 埋蔵証明書 | 今のお墓の管理者(お寺のご住職など) | ご遺骨がそこに納められている事実を証明する |
| 改葬許可証 | 今のお墓がある市区町村の窓口 | ご遺骨を移すことを許可する |
| 受入証明書 | 新しいお墓・納骨堂・霊園など移す先の管理者 | 移す先が受け入れることを証明する |
3枚の書類は、それぞれ別の場所から受け取ります。
▶ 改葬許可申請の手続きと必要書類(全体の流れ)
書類の揃え方・役所への申請の順番を整理しています
お寺への頼み方
頼む時期
船橋市(千葉県)の改葬の案内では、(1)改葬先の受入証明書の取得、(2)現在の墓地管理者から埋蔵証明書の取得、(3)市への改葬許可申請、という順番が示されています(2026年10月時点)。
全体の順番は次のとおりです。
- 移す先を決め、受入証明書をもらう
- 今のお墓がある市区町村の窓口で改葬許可申請書を受け取る
- お寺(今のお墓の管理者)に埋蔵証明書(または申請書への署名・捺印)を依頼する
- 書類を市区町村に提出し、改葬許可証を受け取る
- お寺で閉眼供養をし、ご遺骨を取り出す(撤去工事)
- 移す先に改葬許可証を提出し、納骨する
揉めないための伝え方
「墓じまいをしたい」という申し出は、お寺にとって檀家が離れることを意味します。
最初の伝え方が、その後の話し合いの雰囲気を大きく左右します。
伝えるときに心がけたいこと:
- 事前に電話やお手紙でアポイントを取り、直接お話しする時間をいただく
- 「お墓を閉じたい理由」(遠方で管理できない、継ぐ人がいないなど)を丁寧に説明する
- 「長年お世話になったことへの感謝」を伝える
- 「移す先はすでに決まっている」と伝えると、話し合いが具体的に進みやすい
離檀に際してお布施(離檀料)の話が出ることがあります。
支払い義務があるかどうか、金額の相場については、別の記事で整理しています。
▶ 離檀料の相場と、高額を請求されたときの伝え方
金額の目安と、支払い義務の有無について整理しています
書式の種類
埋蔵証明書の書式には、大きく2つのパターンがあります。
(1)改葬許可申請書の「埋蔵証明欄」に記入・捺印してもらう形
改葬許可申請書の中に、管理者が署名・捺印する欄が設けられているもの。自治体によって様式が異なります。
この場合、申請書を先に市区町村の窓口で受け取り、その申請書をお寺に持参します。
(2)別の書面として発行してもらう形
申請書とは別に、「埋蔵証明書」として独立した書面を発行してもらいます。
一般的な書式は決まっていないため(船橋市など一部の自治体は参考ひな形を用意しています)、お寺の方が慣れていない場合は、自治体の窓口で参考様式を確認しておくと手続きがスムーズです。
ご遺骨が複数のとき
先祖代々のお墓では、複数のご遺骨が納められていることがよくあります。
改葬許可申請書の扱いは自治体によって異なります。
1体ごとに申請書を1枚用意することを求める自治体と、名簿などで複数体をまとめて申請できる自治体があります。
お墓のある市区町村の窓口に、何体分の申請書が必要か事前に確認してください。
依頼のときに「何体分お願いしたいか」を最初に伝えておくと、お寺側も準備がしやすくなります。
改葬許可申請の手数料
改葬許可申請書を市区町村に提出する際、手数料がかかる自治体とかからない自治体があります。
手数料の金額は自治体が条例で定めるもので、自治体によって異なります。お墓のある市区町村の窓口で確認してください。
埋蔵証明書の発行手数料
お寺や霊園によっては、埋蔵証明書の発行に際して手数料を求めることがあります。
金額はお寺や霊園によって異なります。
例として、船橋市(千葉県)の公式サイトでは、埋蔵(収蔵)証明書の発行には手数料がかかる可能性がある旨が記載されています(2026年10月時点)。
依頼の前に、お寺または霊園に確認しておくと安心です。
最新の申請書様式を使うこと
改葬許可申請書の様式は、自治体によって異なります。
また、様式が改訂されている自治体もあります。
例として、船橋市(千葉県)では令和8年(2026年)7月1日から様式が変更されています。
ウェブからダウンロードした様式が最新かどうか、または窓口で受け取る様式が最新かどうかを、お墓のある市区町村の窓口に直接確認してから進めることをお勧めします。
▶ お墓のある市区町村の改葬手続きを確認する
全国の市区町村ごとに、担当窓口と必要書類の確認先をまとめています
出してもらえないとき
お寺から埋蔵証明書を出してもらえない場合、どうすればよいのでしょうか。
お墓のある市区町村の窓口に相談する
最初にすることは、お墓のある市区町村の担当窓口に相談することです。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則第2条第2項第1号には、改葬許可申請の添付書類について次のように定められています(令和8年4月27日最終改正)。
墓埋法施行規則第2条第2項第1号(条文)
「墓地又は納骨堂の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)」
管理者から証明書を取得できない事情がある場合は、どのような書面を用意すればよいかを窓口に相談してください。
昭和30年からの取扱いと令和8年1月の事務連絡
総務省の資料によると、昭和30年(1955年)2月28日付け衛環第22号(環境衛生課長から鳥取県衛生部長宛て回答)では、次の趣旨が示されています。
市町村は極力、墓地等の管理者に対して埋蔵証明書を提出するよう指導すべきであるが、なお拒んだ場合には「これに代わる立証の書面」をもって取り扱って差し支えない。
令和8年(2026年)1月23日には、厚生労働省健康・生活衛生局生活衛生課が「改葬許可申請において埋蔵証明書の添付により難い特別の事情があると認められる場合の取扱い(Q&A)について」と題する事務連絡を発出しました。総務省の資料によると、この事務連絡では「これに準ずる書面」の具体例として次のものが示されています。
- 墳墓の写真
- 申述書(埋蔵証明書を提出できない経緯を記載したもの)
取扱いは自治体により異なります
どのような書面を「これに準ずる書面」として認めるかは、各市区町村長の判断によります。
どの書面を用意すれば必ず改葬許可が下りるとは言い切れません。
まず窓口に「埋蔵証明書を提出できない事情があるが、どのような書面を用意すればよいか」と相談してください。
窓口で前向きな回答が得られない場合は、以下の章で触れる方法も選択肢になります。
話がこじれたとき
消費生活センターへの相談
令和8年(2026年)1月、総務省東北管区行政評価局の情報収集を受け、国民生活センターは墓じまいに関する相談対応者向けの資料を全国の消費生活相談員等に配布・周知しました(総務省の資料による)。
消費者ホットライン 188(いやや)に電話すると、お住まいの市区町村の消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。
弁護士への相談
お寺との関係がこじれた場合、または法的な問題が生じた場合は、弁護士に相談する方法があります。
日本司法支援センター(法テラス)では、収入・資産が一定基準以下の方を対象に、弁護士・司法書士による無料の法律相談を行っています(法テラス公式サイト、2026年10月時点)。
お寺とのやりとりをサポートする代行業者
墓じまいの代行業者の中には、お寺との連絡やりとりを一社でサポートしてくれるところがあります。
また、弁護士事務所と提携しており、法律的な問題が生じた場合に相談できる体制を整えている業者もあります。
▶ 墓じまい代行6社を比較する
手続き代行まで対応しているかどうか、業者ごとに確認できます。多くの会社で、見積もりは無料です。他社と比べてからお決めください。
まとめ
- 埋蔵証明書は、今のお墓の管理者(お寺のご住職など)が出す書類。改葬許可証は、市区町村が出す別の書類です
- お寺には、移す先を決めてから、感謝とあわせて丁寧に頼みます
- 書式や、ご遺骨が複数のときの扱い、手数料は、自治体やお寺によって違います。事前に確かめてください
- 出してもらえないときは、お墓のある市区町村の窓口に相談します
▶ 改葬許可申請の手続きと必要書類
申請書の書き方・役所への提出の順番をまとめています
▶ お墓のある市区町村の担当窓口を確認する
全国の市区町村ごとに、担当窓口と必要書類の確認先をまとめています
よくある質問
Q. 改葬許可証とは別に、埋蔵証明書が必要ですか?
はい、別々に必要です。
改葬許可証は市区町村が発行する書類です。埋蔵証明書は、改葬許可申請書に添付するために、今のお墓の管理者(お寺のご住職など)から取得する書類です。
改葬許可証をお寺でもらうのではなく、先にお寺で埋蔵証明書をもらい、それを添付して市区町村に申請することで、改葬許可証が発行されます。
Q. お墓を開けてみたらご遺骨が見当たりませんでした。埋蔵証明書はどうすればよいですか?
お墓の中にご遺骨が存在しない(土に還っている、または実際には納骨されていなかった)場合は、埋蔵の事実がないため、通常の埋蔵証明書は発行されません。
この場合の取扱いは自治体によって異なります。まず今のお墓がある市区町村の窓口に、状況を説明して相談してください。
Q. 埋蔵証明書に有効期限はありますか?
法令上、埋蔵証明書そのものに有効期限の定めはありません。
長期間手続きが進まない場合は、申請先の市区町村に確認してください。
参考にした資料
- 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)(令和8年4月27日最終改正、2026年10月確認)
- 総務省 東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」(令和8年1月30日、2026年10月確認)
- 船橋市「改葬の手続きについて」(2026年10月確認)
- 日本司法支援センター(法テラス)「無料法律相談のご利用の流れ」(2026年10月確認)
- 消費者庁「消費者ホットライン」(2026年10月確認)